園芸活動が持つ特性を、高齢者や障害者などの社会的に不利な立場にある人々の心身の機能回復や社会復帰などに役立てる療法。土に触れて植物を育て、花の香りを嗅ぎ、実や葉を食べる、などの一連の園芸活動には、生活に不可欠な生活要素や運動機能及び五感に訴えるものが多く含まれている。園芸療法は、アメリカでは戦後主に身体機能の回復のために、イギリスでは高齢者や障害者などを支援する社会活動の一環として発展してきた。近年、日本でも急速に注目され、福祉施設や病院、学校など様々な場面で実践されている。国内では当初、花きなどの植物が研究対象であったため、学問としては園芸学会の一分野として研究が発展してきたが、2001年9月に人間・植物関係学会が設立されると、研究活動の中心を担うこととなった。その後08年3月に、医学分野が中心となった日本園芸療法学会が設立され、植物、人間の両面からの研究活動が共存している。園芸療法を実践する園芸療法士は、園芸療法士資格認定制度によって認定されている。本制度は、人間・植物関係学会において05年より創設、運営されてきたが、08年度から日本園芸療法学会へ移譲されている。