草木を鉢(盆栽鉢、盆器)に植えて、人為的に枝ぶりや葉姿、幹の肌、根を整え、野外で見られる大木の姿を鉢の上に縮尺して再現し、大自然を想像できるように育てたもの。または、その姿全体を鑑賞する趣味のことで、唐代(618~907年)の中国で「盆景」として生まれ、平安時代に日本へ伝わった東洋人独特の感性であり、日本の伝統園芸・文化の一つであると言える。盆栽には植え方と姿によって、真っすぐに幹が伸びる直幹(ちょっかん)、斜めに立つ斜幹(しゃかん)、幹が左右に模様を描く模様木(もようぎ)、幹先が鉢底より下に垂れる懸崖(けんがい)、中間から縁くらいまでの半懸崖、簡素な細幹に豊かな詩情がうかがえる文人木(ぶんじんぎ)、一つの根から二つの幹が出る双幹(そうかん)、一鉢に数種を植える寄せ植え、石に根を絡ませた石付き(いしつき)などの仕立て方がある。主な盆栽生産地は、香川県高松市鬼無地方(きなしちほう)や埼玉県さいたま市盆栽町あたりである。特にさいたま市(当時の大宮市)では1989年に第1回世界盆栽大会が開催され、それを機に世界盆栽友好連盟(WBFF)が発足した。その後世界大会は4年ごとに世界各地で開催されてきたが、熱心な誘致活動が実り、2017年の第8回大会は再びさいたま市で開催される。盆栽はヨーロッパでは1970年頃から「Bonsai」(ボンザイと発音することが多い)として根強い人気があり、ピーク時には日本から年間約60万本が輸出されていた。ところが、2008年にオランダに輸出された庭木からゴマダラカミキリが見つかったことにより、カエデ・モミジ等16属1種に対する輸入規制強化の緊急措置が施行され、カミキリが入れない網室などでの2年以上の栽培が義務付けられた結果、09~10年度の輸出が不可能となった。しかし、13年10月にはこれも解除され、生産地や日本貿易振興機構(JETRO)などによる輸出振興が再開している。