山形市野草園(山形県山形市)で、元同園嘱託職員・志鎌節郎(しかませつお)により2004年に発見された、ミヤマザクラとカスミザクラとの自然交雑による新種。園内に1本のみ存在し、高さ約8メートル、推定樹齢は約30年である。園内で他とは異なるサクラを発見した同氏が大場秀章東京大学名誉教授に同定を依頼したところ、ミヤマザクラとカスミザクラの新しい節間雑種であることがわかり、2012年に和名を「ミヤマカスミザクラ」、学名は発見者の功績をたたえて「Cerasus×shikamae H.Ohba」と命名された。本種は、カスミザクラのように開葉と開花が同時であり、花弁先端が二つに裂けていること、ミヤマザクラのように主軸から柄のついた花が房状に咲く総状花序で、花軸(花がつく茎)が複数分枝することなど、両親の特性を併せ持っている。両親はサクラ属のミヤマザクラ節とサクラ節に分かれており、節を超えた交雑は珍しい。両種共に標高が高い場所に分布するが、開花期はカスミザクラが5月初旬、ミヤマザクラが同月中旬とずれており、自然交雑の機会はほとんどない。同園のカスミザクラが日当たりの悪い場所にあり、開花期がミヤマザクラと重なることもあったためではないかと推察されている。