一般的な大輪朝顔に対して、八重咲きや花弁が細かく切れたり反り返ったりして本来の花型から様々に変化した、とても朝顔とは思えないような花や葉の奇態を示す突然変異系統のこと。変わり咲き朝顔や変化咲き朝顔と呼ばれることもある。朝顔栽培は江戸時代に2度のブームがあったが、変化朝顔の主な変異は文化文政期(1804~30年)の第1次ブームに育成された。木版の図譜類も多数出版され、特に珍しく美しいものは非常に高値で取引された。嘉永安政期(1848~60年)の第2次ブームでは、より複雑な不稔系統(子孫を残せない種)が育成された。当時の園芸文化は現代よりも優れており、経験的にメンデル遺伝の理論を利用して育成していた。明治維新後いったん下火になるが、明治中期ごろから再燃し、「獅子咲牡丹」「車咲牡丹」など人工交配を行って嘉永安政期を超える複雑な系統が作られた。第二次世界大戦により系統が散逸したが、愛好家が保存していた系統が、国立遺伝学研究所によって収集・保存された。1993年にこれらの収集系統は九州大学に移管され、種子の更新事業を継続している。一方理化学研究所、筑波大学、筑波大学附属坂戸高校では、重イオンビームを照射してDNA変異を起こした平成版変化朝顔を作ろうとしている。