画素の一つ一つが有機素材を用いた自発光式のディスプレーで、パネルの厚さを数ミリと薄くすることができ、有機ELパネルともよばれる。柔軟性のあるパネル素材を使用すれば、ポスターのようにどこにでも掛けられる、いわゆる「ペーパーテレビ」や、巻き取り収納も可能(ローラブル)な携帯向け省スペース映像表示デバイスも実現できる。有機ELを用いた表示方式は、構造上大きく二つに分けられる。白色発光体を用い、フィルターを通してRGB(赤・緑・青)に変換してフルカラー映像を得るカラーフィルター方式(color filter method)と、RGBそれぞれの色に発光する有機EL素材を塗り分けて並べていくことでパネルを形成する印刷方式(printing method)があり、色域の広さや視野角性能の観点では、印刷方式の方が有利と考えられている。有機ELディスプレーは、2007年末、ソニーが世界で初めて11型(画面の対角線が11インチ≒28センチ)テレビに採用・製品化したが、当初は価格や寿命などの課題を抱えていた。現在では、有機ELディスプレーを使った80型クラスの大画面テレビも製品化され、大型高級モデルを中心に採用が進んでいる。