円形交差点の一種で、複数の道路が円形のスペースを介して接続される。中央の円形のスペースは「中央島」と呼ばれ、この島の周りを車両は時計回り(左側通行の場合)に一方通行で走行して希望の道路へと進行する。信号が不要で、特別な交通整理もなく、交差点での秩序が保てるとしてヨーロッパを中心に深く根付いている。欧米では、この交差点において周回中の車両に優先権があり、交差点に進入しようとする車両は周回中の車が通過してから進入する。ところが日本では「左方優先」の概念があり、これに当てはめると交差点に進入する車両に優先権が生まれてしまい、システム自体が破綻してしまう。そこで、2013年6月の道路交通法改正で、この交差点を「環状交差点」として改めて規定。これまでの環状部進入前の一時停止義務がなくなり、交差点に入る車両は道路の左側に寄りながら徐行し、その上で交差点内を通行する車両の進行を妨げることを禁止し、環状交差点内に入ってからも、側端に沿って徐行しながら進行しなければならない、とした。ラウンドアバウトは、規模が大きくなると混乱を招く可能性があるが、交通量の少ない住宅街や地方都市では、維持管理ともに低コストでできる交差点としてメリットは大きい。日本では、08年の愛知県豊田市を皮切りに、長野県飯田市、茨城県日立市などで改正前から導入されていたが、14年9月の改正道交法施行により、長野県須坂市、安曇野市、軽井沢町、滋賀県守山市、静岡県焼津市などでも社会実験を含む運用が始まり、全国34カ所に広がった。滋賀県警の試算によると、信号機の取り付け費用は400万~500万円程度、維持費も信号機にかかる電気代も不要なため、年間約50万円ほどで済む。災害時などで停電しても交差点として機能することができ、その効果から東日本大震災の復興計画にも盛り込まれている。