独自に改良を加えた競馬予想ソフトとJRAがインターネットで提供しているデータを使い、2007年から09年の3年間に約28億7000万円分の馬券を購入して、約30億1000万円の配当を得ていた大阪市在住の男性が所得税法違反で訴えられた刑事裁判。馬券の配当を一時所得とみなした国税庁は、必要経費は的中馬券のみという判断から、約5億7000万円の追徴課税を求めて大阪地方裁判所に訴えた。一方、被告となった男性側は、馬券の購入は営利を目的とした継続的な行為であり、外れ馬券も必要経費として認めるよう主張していた。男性が得た巨額の配当金に加え、約1億4000万円の収益に対して約5億7000万円の課税ということで話題となった裁判の第一審判決(13年5月23日)では、大阪地裁は男性の主張をおおむね認め、課税額は約5200万円と大幅に減額された。しかし、所得税法違反(単純無申告)は有罪となり、懲役2カ月、執行猶予2年の判決が下されている(求刑懲役1年)。国側は大阪高等裁判所に控訴したが、馬券を買った時点でJRAの取り分として約25%控除されている。そのうち10%分がまず第一次国庫納付金となり、賞金や運営費に当てられる残りの15%分から剰余金が出た場合、さらにその2分の1が第二次国庫納付金として国に納められている。馬券を買っている側にすれば、配当にも課税されてしまっては税金の二重払いだという意識があるうえ、WIN5(→「馬券」)などの高額配当となる馬券も発売されているだけに、大阪高裁の審判が注目されている。