安全確保や遭難事故防止のための知識と技術を持つ山の案内人。以前は全国的な制度がなく、未熟なガイドの判断ミスから遭難したケースなどもあったため、2004年に日本山岳ガイド協会は山岳ガイド・自然ガイドの統一資格認定制度をスタートさせた。これは、危険の多い海外登山も案内できる国際山岳ガイドから、国内の山岳ガイド、クライミングインストラクター、スキーガイド、里地・里山の自然や民俗を解説する里山ガイドまでの10種類に分かれ、登山実績や実技、自然や気象に関する知識などを審査して認定する。資格は3年ごとの更新制で、定期的な研修が 義務付けられている。日本山岳ガイド協会は、これらの活動の一環として、「楽しく登山をするために、必ず知っておきたい4つの点検と9つの危機」について公開し、周知を呼びかけている。「4つの点検」とは、登山する前に必須の準備確認で、(1)体の準備(日頃のトレーニング)、(2)登山のイメージ(地図などでの事前調査)、(3)持ち物の確認(雨具、地図・コンパス、ヘッドランプなど忘れてはならないものの点検)、(4)登山届の提出(入山前登山口で提出。スマートフォンからでも提出できる)の四つ。また「9つの危機」には、(1)道迷い(遭難事故の4割は道迷い)、(2)転倒、転落・滑落(転倒しないようゆっくり確実に歩く)、(3)疲労(身体の動きや判断力の低下。休憩、水分、栄養の補給)、(4)落石(前、上を見て歩き自分からも落石を出さぬよう)、(5)落雷(早めに察知し山小屋へ避難)、(6)崩落(天候の変化による崩落や土砂崩れ)、(7)鉄砲水(夏の集中豪雨、川の上流での降雨による増水)、(8)凍傷(冬はもちろん、夏でも保温効果の高い衣類の携行)、(9)野生生物(スズメバチ、クマ、毒ヘビ、ウルシ、キノコなども注意)が挙げられている。これらは野外へ出る時は当たり前のことなのだが、幅広い年齢の人たちに登山が楽しまれるようになり、同時に事故も増えつつある。是非これらの点検・危機をチェックして安全な登山を楽しんでもらいたい。