環境に優しい釣り。日本で、2002年の1年間に1回以上釣りをした人は1670万人。これらの人が釣り針を1本無くしたとして1670万本の釣り針が水中に放置されることになる。ましてこれに餌がついていれば魚が飲み込んだり、鳥が食べることもある。また釣り人が捨てた釣り糸や釣り針、ルアーなどが鳥に絡まる事故が多発している。多摩川、荒川などに迷い込んだアゴヒゲアザラシのタマちゃんのまぶたに釣り針がかかり、話題になったこともある。さらに、ルアーフィッシング人口の増加とともに水中に放置されたワーム(ミミズなどを模したプラスチック製の疑似餌)などが増え、これらから環境ホルモンがとけ出しているという報告もある。ある湖で湖底清掃をしたら釣り糸やワームなど430kgのゴミが回収されたという。これに対し釣り具メーカーは、水や微生物により水と二酸化炭素に分解される特殊な繊維でできた釣り糸などを販売しているが、まだ一般に浸透するにはいたっていない。早急に環境に優しい製品の普及が望まれる。同時に釣り場でのマナーの徹底、ゴミ問題を解決しないと近い将来、釣りができなくなるという危機感を、釣り愛好家も持つ必要がある。さらに漁業従事者にも環境に対する意識を求めたい。