森を立体的に楽しむ施設が各地にでき始め、注目を浴びている。森を上から観察できるタワーに上って樹冠を見たり、吊り橋を渡りながら自然を観察したりできる。ただの木登りやフィールドアスレチックスとの違いは、専用のハーネス(安全具)を装着すること。これを木々の間に渡したワイヤなどにつなぐことで、木から木へ空中散歩のように渡り歩いたり、滑車を使って地上数十mの空間を一気に滑り降りたりといった、「手と足」だけでは味わえない、まるで鳥かムササビになったような感覚も体験できる。フランスのALTUS社が1997年にアヌシー郊外で始めた自然共生型アウトドアパーク「La foret de l'aventure」(「冒険の森」の意)が火付け役。フランス国内では、同社が手がけた施設が約50、他社も含めた同様の施設は200以上あるといわれる。高度があるだけに、安全対策には入念な準備が図られ、同社の施設では、コースに入ってから終了地点まで、滑車とワイヤは外れない仕組みになっている。また、ヘルメットや落下防止器具などの装備をはじめ、多くの施設で得た事例をもとに施設設計やオペレーションの安全基準を整え、利用者は事前に使い方の講習を受けることになっている。日本では、有限会社パシフィックネットワークが同社と提携、日本人にはわかりやすい英語の「フォレストアドベンチャー Forest Adventure」という名称で、2008年12月31日現在、山梨、千葉(名称は「ターザニア」)、奈良、沖縄の4カ所に展開している。また、栃木県茂木町の「ツインリンクもてぎ」内にも、同様の趣旨の施設「森の空中回廊クラーネ」がある。この施設を含む「ハローウッズ」には、森の中で生き物同士の命のつながりを実感できる「森あそび」や、里山の自然素材を使った「ものづくり」など、さまざまな体験プログラムが用意されている。