2009年7月に起きた北海道大雪山系トムラウシ山と美瑛岳での遭難事故。悪天候により、この地域に入っていた25人の登山者のうち10人が死亡。いずれも50~60歳代だった。トムラウシで死亡した8人は、ガイドが3人同行した15人のパーティだったが、うち2人のガイドはこの山は初めてだったという。北海道でも、とくにこの山域は山小屋はなく、避難小屋だけ。テントも持たずに出かけた今回の計画は、歩く距離の長いこのコースでは無謀と言わざるをえない。また、ツアーということで予備日も作らない余裕のない行程や、天候判断の誤り、さらに参加者の経験及び体力不足が重なり、大惨事となってしまった。トムラウシ山は、登山家で文筆家の深田久弥が著した随筆集「日本百名山」にも選ばれており、知名度が作り出した悲劇と言えるかもしれない。