切ったり削るための小刀。材質や用途によりさまざまな種類があるが、その形態から二つに大別される。一つは柄の部分に刃を折りたたんで収納できるフォールディングナイフ。もう一つは、刃は折りたためず木や革製のシース(鞘)に収めるシースナイフ。フォールディングナイフは携帯性、安全性に優れ、シースナイフは堅牢性に優れている。ナイフ本来の刃以外のツールが柄の部分に組み込まれたナイフは、ツールナイフと呼ばれている。缶切り、栓抜き、ワイン抜き、ハサミ、ヤスリ、ドライバーなどが付き、さらに楊枝(ようじ)やピンセットまで付いたものもある。しかし、ツールがたくさん付いていればいいというわけではなく、かえってナイフとして使うとき使いづらかったり、ツールを引き出しにくかったりというデメリットもある。これらのツールは、実際アウトドアで使う前にどのような使い方ができるのか、事前に練習しておくとよい。日本には、もっともシンプルなナイフとして「肥後守」(ひごのかみ)がある。プレス成型された金属の柄に刃が収納できる安価なナイフで、名称は登録商標だが、同型ナイフの総称的に用いられた。明治の中ごろに生まれ、小学生などを中心に、鉛筆削りや簡単な工作などに広く使われていたが、鉛筆削り器やカッターの普及、保護者らの刃物追放運動などにより、子どもの世界からはほとんど姿を消した。フランスの刃物メーカー「オピネル」社のフォールディングナイフも、安価で使いやすいことから、日本では「フランスの肥後守」と呼ばれている。また、フランスにはドゥクドゥク(DOUK-DOUK)という折りたたみナイフもあり、構造的にはこちらのほうが肥後守とよく似ている。