東京都狛江市が2012年4月1日に施行した環境保全条例。多摩川河川敷の一部エリアでバーベキューを全面禁止とするもので、正式名称は「狛江市多摩川河川敷の環境を保全する条例」。狛江市の小田急線鉄橋付近の河川敷は駅から近く、鉄橋が雨よけになると評判となり、休日には大勢の人がバーベキューを楽しむために押し寄せた。しかし、このエリアのすぐそばにはマンションや民家が多くあり、バーベキューの煙やにおいをはじめ、ゴミの不法投棄による悪臭やカラスの飛来、音楽プレーヤーによる騒音、花火による火事の危険などに、住民からの苦情が続出。そこで市は、花火、バーベキューを全面禁止する条例を議会に提出。11年12月に可決成立した。これにより、13年4月1日から、違反者には指導員による勧告が行われ、従わない場合2万円の過料が科される。一方狛江市の対岸に位置する川崎市では、二子新地に有料地区を設け、12年4月から1人500円を徴収してこれを容認。川を挟んで対応が分かれることとなった。京都府の鴨川の一部で08年4月、兵庫県芦屋市でも11年6月から河川敷の利用制限が施行されている。だが、規制を強化するだけではなく、バーベキューのできる環境の整備、管理、利用者のマナーの向上など、あらゆる面からの検討が必要だろう。