日本におけるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手2社が法廷での争いを行っている。2009年10月、グリー(GREE)は、自社で開発した釣りゲームが、DeNA(ディーエヌエー)が提供するゲームに酷似していると提訴。12年2月、東京地裁は著作権侵害を認め、DeNA側にゲームの配信停止と約2億3400万円の損害賠償を命じる判決を言い渡したが、DeNA側は即日控訴、現在も係争中である。これに加えて、11年11月、グリーは提携企業であるKDDIと連名で、10億5000万円超の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。SNS上で遊べるソフトのことをソーシャルアプリと呼ぶ。このソフトを開発する企業(サップ(SAP)=ソーシャル・アプリケーション・プロバイダー)に、「DeNAはライバルであるグリーに提供しないように圧力をかけている。そのために損失を被った」というのがグリー側の主張だ。対してDeNAはこの事実を否定。「事実無根」と主張している。2社ともに携帯電話を使ったサービスを提供しており、ハードウエアの性能においての競争はできない。ゆえに、知名度の向上や、人気ソフト、優良企業の囲い込みが、安定成長を維持するために不可欠な条件となる。本提訴問題は、近年、急成長したソーシャルアプリ、ソーシャルゲームの市場特性が招いたものと解釈できよう。