原作の自伝的バンド・デシネ(フランス文化圏独自のマンガ)を描いたユン(Jung)が、2012年にドキュメンタリー監督ローラン・ボアローと共同監督した長編ドキュメンタリー・アニメーション。朝鮮戦争のために戦争孤児となったユンは、ベルギー在住の一家に引きとられる。養父母とその実子たちと生活し、肌の色など様々な違いを乗り越えながら「家族」になるプロセスを、3DCG(→「フルCGIアニメ」)のキャラクターで丁寧に追う。そこに養子縁組みに使われた写真や家族で撮影した8ミリフィルム、さらに故郷へ旅する現在の実写映像などを挿入。多面的な視点を駆使して、母国と引き裂かれた立場から、改めて国際養子としてのアイデンティティー形成を追う真摯(しんし)なアプローチが評価された。13年12月、海外のアニメ作品としては初となる第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞。