漆原友紀が1999年10月から「アフタヌーンシーズン増刊」(のちに「アフタヌーン」、ともに講談社)で連載しているマンガ。近代日本を舞台に、蟲(むし)と呼ばれる妖(あや)かしの存在と蟲師ギンコの対決を描く。30歳前後と見られるギンコは、各地をさすらい、人々を不幸に陥れる蟲を退治する。移動する沼、角がある少年、子どもに擬態した生き物など、蟲が原因となって起こる事件は様々である。幼いころから蟲が見える子どもだったギンコは特別な能力を持ち、その姿が見えるだけでなく取り憑かれた人々を解放する術(すべ)を知っている。諸星大二郎の「妖怪ハンター」や星野之宣の「宗像教授伝奇考」を思わせる雰囲気と物語展開だが、静謐(せいひつ)な語り口と絵柄には独自のものがある。2005年秋にフジテレビ系でテレビアニメ化されたのち、06年には大友克洋監督による実写映画がベネチア国際映画祭に出品された。