個性的な作風で知られるマンガ家永島慎二が、2005年6月10日、心不全のため逝去した。享年67歳。長く糖尿病を患い透析の毎日だったという。「漫画家残酷物語」「フーテン」「若者たち」で真摯な若者群像を描いて熱い共感を得た永島慎二は、1960年代後半から70年代にかけて教祖的な存在だった。とりわけ「漫画家残酷物語」は、マンガを描く自らの姿勢を厳しく問い詰める異色作で、当時のマンガ青年に多大な影響を与えた。自伝的色彩の強い作風、芸術的なセンスの光る絵柄など、独特な存在であった。一時アニメ制作に携わったこともあり、作品の数はそれほど多くはない。娯楽作品として割り切ってマンガを描くタイプの作家ではなく、描くことが生きることを意味していた。マンガ史の中でも特異な位置にある作家といえる。