2005年から「ヤングアニマル」(白泉社)で始まった、若杉公徳の痛快なギャグマンガ。主人公は23歳のか弱き青年、根岸崇一(そういち)。しかし仕事の顔は、過激なデスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ(DMC)」のボーカル、ヨハネ・クラウザーII世である。クラウザーは、白塗りメイクと頽廃(たいはい)的なコスチュームを身につけ、ステージの上で変態的な性と暴力の歌詞を歌い叫ぶ。しかし、ライブが終われば善良な青年、根岸に戻り、いつも自己嫌悪に陥る。そのギャップがおもしろい。恋人とのデートでは、つい興奮して一瞬クラウザーに逆戻りしたりもする。描写は過激ながら、ギャグはほのぼの。その落差も魅力だ。