「週刊モーニング」(講談社)に2005年から連載の、山田芳裕による戦国マンガ。誇張のきいた絵柄で知られる山田だが、本作は単に描写が奇抜であるだけでなく、取り上げる素材と歴史観が異色だ。主人公は織田信長に仕える34歳の武士、古田左介(ふるた さすけ、後の古田織部[おりべ])。茶器に通じ、またそれをこよなく愛す、いまでいうと茶器オタクである。戦国の武将たちの抗争のドラマを、茶道との結びつきから捉え直すという視点がユニークで、物語を奇抜なものにしている。本能寺の変に新解釈を与えるなど、マンガならではの展開ももつ。登場人物たちの表情の描き分けがうまく、戦争とは基本的に心理戦であることを強く印象づけている。