2009年9月12日、「クレヨンしんちゃん」(双葉社)の作者、臼井儀人が群馬県の荒船山に登山に出かけたまま連絡が取れなくなったと、警察に家族から届け出があった。捜査の結果、同月19日、山中の崖(がけ)の下で遺体となって発見された(翌日家族により確認)。持参していたカメラには、崖の下を写した写真があったことから、崖の下を覗(のぞ)いているうちに誤って転落したものと見られている。51歳だった。それに先立つ5月5日には、京都精華大学の教授でもあるやまだ紫が、脳内出血のため死去。60歳だった。1969年「COM」でデビュー、「ガロ」に発表の場を移して、独特の言語感覚を駆使したポエティックな短編マンガを発表し続けた。「性悪猫」(青林堂ほか)や「しんきらり」(青林堂ほか)などが代表作。また10月30日には、同大学の名誉教授である佐川美代太郎が、老衰のため85歳で逝去。政治風俗マンガの描き手で、同大学のマンガに関する授業を長年受け持っていた。ここ数年、マンガ家の物故が相次ぐ。それだけマンガ文化も年をとったということか。