アジアには計3つの大型男子ツアーが存在する。アジアンツアー、ワンアジアツアー、そして日本ツアー。かつて日本を除くアジアのツアーを主催していたのはAPGC(アジア太平洋ゴルフ連盟)で、アジア各国のゴルフ協会が中心となっていた。しかし、1990年代から技術の高い欧米選手のエントリーが増え始めたことで、「もっとアジアの選手が活躍できるツアーに」という理念でAPGA(アジアプロゴルフ協会)が設立された。APGAは、90年代半ばからAPGCの試合を取り込み、2001年ごろにはすべての試合を管轄するようになった。だが、さらなるツアーの成長で、「アジア選手の活躍できる場を」と訴える選手側とビジネス重視のプロモーター側が対立。組織が再編され、04年から選手側が中心となったアジアンツアーがスタートを切った。一方、プロモーター側も新たなツアー発足へ動き出し、アジアンツアーと距離を置いていた中国や韓国、オーストラリアを加え、ワンアジアツアーを設立、09年から本格的なシーズンをスタートさせた。豊富な資金力で拡大を図るワンアジアツアーは、13年シーズンに日本男子ツアーと共催で2試合を行うと発表。3月にタイとインドネシアで行われ、獲得賞金は日本ツアー賞金加算対象となる。
ただ、この2ツアーの対立構造は、深刻な問題にもなっている。アジアンツアーは「ワンアジアの試合に出場したら罰金、出場停止」などと制裁を設け、賞金額を増やすためヨーロッパ男子ツアーとの共催試合を増やしたりと、ワンアジアへの対抗策を打ち出している。選手側も「賞金額の大きいワンアジアは魅力だが、ヨーロッパとの共催も行うアジアンツアーからの出場停止は避けたい」という悩みを抱えている。