「豆(bean)から製品(bar)まで」の意味で、カカオ豆の選別から加工まで、製造工程を全て一つの工房で行って作るチョコレートのこと。チョコレートは、発酵、乾燥させたカカオ豆を焙煎(ばいせん)、粉砕してペースト状にし、砂糖や油脂を加え、成型して作られる。大手メーカーを除き、一般的な日本の菓子店のチョコレートは、成型までを済ませたクーベルチュールと呼ばれる製菓用チョコレートを一度溶かし、砂糖や牛乳などを加えて再成型することで作られるが、ビーントゥバーの場合は、発酵、乾燥を済ませた豆を産地や品種にこだわって調達することから始まり、工房で焙煎以降のすべてを行う。生豆の栽培や発酵から関わるブランドもある。一般的なチョコレートに比べて製造に手間がかかるため、小規模の工房で少量生産されていることが多い。2008年ごろからアメリカで始まった手法で、その後、ヨーロッパなどにも広がった。原料や製造法にこだわる点でサードウエーブコーヒーとの共通性が指摘されている。日本でも11年に設立された専門店「Dari K(ダリケー)」(京都市)などが先駆けとなって、こうしたチョコレートの製造、販売を手がける工房が増加。15年のバレンタインデーごろから注目を集めるようになった。