配偶者の死後、姻族関係終了届を提出することによって、姻族との関係を終了すること。姻族とは、婚姻によって発生する親族のことで、配偶者の血族、または血族の配偶者を指す。民法上の規定では3親等以内の姻族を親族とみなすと定められており、場合によっては扶養義務が発生する可能性がある。配偶者の親や連れ子は1親等姻族、配偶者の兄弟姉妹は2親等姻族に相当する。通常、離婚届を提出すると、婚姻関係と姻族関係は同時に解消される。しかし、配偶者が死亡した場合は、婚姻関係は終了するが、姻族関係は継続される(再婚後も終了しない)。このため、姻族関係を終了させたい場合は、本籍地か住所地の市区町村に同届を提出する必要がある。配偶者の死後に離婚することはできないが、同じ効果が得られることから「死後離婚」と呼ばれている。届出に提出期限はなく、姻族の同意も必要ない。届出によって、義理の親を扶養する義務が生じる可能性はなくなるが、配偶者の相続人という立場は変わらないため、遺産相続には影響がない。また、遺族年金の受給資格も失われない。ただし、死別と姻族関係終了届のみでは、戸籍は変わらないので、婚姻前の姓に戻りたい場合は復氏届(ふくうじとどけ)を提出し、結婚前の戸籍に戻るか、新しい戸籍を作る必要がある。姻族関係終了届の提出者は、主に、夫の死後、同じ墓に入りたくない、あるいは義理の両親の世話をしたくない、などの理由で女性を中心に年々増加しつつあり、法務省の「戸籍統計平成26年度年報」によれば、2014年の提出数は2202件で、05年の1772件から約25%増加した。