アキモト・マツヨ。劇作家。
4月24日、「かさぶた式部考」「近松心中物語」などで知られる劇作家、秋元松代さんが、肺がんのため、神奈川県鎌倉市の病院で死去。90歳。
戦後を代表する女性劇作家。特定の劇団とは関係を持たず、完全主義、孤高を貫いた作家でもあった。
1911年、横浜市生まれ。小学校時代に結核にかかり、以後、独学で古典を勉強。劇作をはじめたのは、戦後、34歳で三好十郎の戯曲研究会に入ってから。49年、俳優座の「礼服」で注目され、60年には、東南アジアで女郎屋を経営した男を痛烈に批判した喜劇「村岡伊平治伝」で芸術祭奨励賞受賞。以来、日本人の心の底に眠る民俗伝承や信仰を掘り起こした「常陸坊海尊」で芸術祭賞、「かさぶた式部考」で毎日芸術賞、「七人みさき」で読売文学賞を受賞。79年には近松門左衛門のいくつかの心中物をもとにした「近松心中物語」を執筆、蜷川幸雄の演出で帝国劇場で初演。大ヒット作となり、上演1000回を記録。