イノウエ・キヨシ。歴史学者。
11月23日、日本近現代史の歴史家で、大学紛争や元号制反対運動に積極的にかかわった京都大学名誉教授の井上清さんが、肺炎のため、京都市の病院で死去。87歳。
1913年、高知県生まれ。東京帝国大学文学部国史学科在学中に、在野の歴史学者、羽仁五郎に師事。戦中は、文部省や帝国学士院で維新史料や帝室制度史の編纂(さん)に従事し、戦後、マルクス主義的立場から天皇制や軍国主義を解明して批判。54年、京都大学人文科学研究所助教授として招かれ、61~77年まで教授。日本近代史の体系化や被差別部落問題、米騒動などの研究を行う。全共闘系の学生運動を支援し、教科書検定問題などでも活発な論陣を張った代表的な左翼文化人のひとり。
著書に、『日本近代史』『日本の軍国主義』『天皇制』『日本女性史』『天皇の戦争責任』など。日中学術交流に尽力した功績により、98年、日本人初の北京大学名誉教授に。