オイダ・トシオ。ジャズ歌手。
9月2日、戦後日本のジャズ歌手の草分け的存在だった笈田敏夫さんが、腎盂(じんう)がんのため死去。78歳。
1925年、ドイツ・ベルリン生まれ。ピアニスト笈田光吉の長男。終戦後復学した慶應義塾大学在学中からハワイアンバンドのボーカリストとして活躍。幼なじみの大橋節夫とバンドを結成した後、スターダスターズ、ブルーコーツオーケストラを経て、ジャズのソロシンガーになる。昭和20年代後半から30年代のジャズ黄金期にはアイドル的存在となり、1953年から8年連続で「紅白歌合戦」に出場。「スイングジャーナル」誌の人気投票で、男性ジャズボーカル部門第1位を通算26回獲得。故・石原裕次郎主演の映画「嵐を呼ぶ男」(58年)に敵役のチャーリー・桜田役で出演したほか、ミュージカル出演、音楽番組の司会などで活躍。生涯現役を貫き、愛称の「ゲソ」を冠した「ゲソの気まぐれコンサート」を2003年も4月に開催。7月20日に宝塚市で開かれたライブ出演が最後のステージとなった。