イシズ・ケンスケ。服飾デザイナー・評論家。
5月24日、ファッションブランド「VAN」の創業者で、服飾デザイナー・評論家の石津謙介さんが、肺炎のため死去。93歳。
1911年、岡山県生まれ。学生服が着たいという理由で小学校を転校、中学では制服を改造するなど、早くから服飾に興味を持つ。兄・良介が写真家の道に進んだため、明治大学商科専門部卒業後家業の紙問屋を継いだが、39年中国・天津(テンシン)に渡り、友人の兄が経営する洋品店・大川洋行に入社。服飾ビジネスの世界に入った。終戦後は、レナウンで辣腕をふるい、51年に独立して大阪で石津商店を創業。1955年には組織を株式会社ヴァンヂャケットに改め、東京に進出。アメリカ東部の学生ファッションをヒントにした“アイビールック”で若者の間に爆発的な人気を獲得した。その後、64年の東京五輪では選手団の制服デザインを手がけるなど、長年にわたり若者のファッションリーダーとなった。しかし、78年ヴァンヂャケットはアパレル業界史上最高の500億円といわれる負債を抱えて倒産した。その後は“TPO”“カジュアルフライデー”などの言葉を生み出すなど、ファッション評論やプロデューサー業を中心に活躍し、メンズファッションを社会的に定着させた。