アサブキ・トミコ。本名、朝吹登水(とみ)。翻訳家。作家。
9月2日、サガンの「悲しみよこんにちは」など、多くのフランス文学を訳出した朝吹登水子さんが死去。88歳。
1917年、東京生まれ。実業家の父と、歌人・朝吹磯子の間に生まれる。第二次大戦前のフランスに留学し、37年にパリのソルボンヌ大学文明講座修了。戦後の1950年、再びフランスへ渡り、パリの洋裁学校でオートクチュールのデザイナー資格を取得する。留学中に出会った哲学者の森有正に勧められ、デザイナーのクリスチャン・ディオールの著書を翻訳する。55年に2冊目の翻訳、フランソワーズ・サガンの小説「悲しみよこんにちは」が爆発的にヒットし、翻訳家として広く知られることになった。以後「ある微笑」「ブラームスはお好き」などサガンの小説のほとんどを翻訳。また、サガン以外にもボーボワールの作品「娘時代」「女ざかり」なども数多く手がける。ボーボワールを介してサルトルとも親交が深かったことは有名。77年には自伝的小説「愛のむこう側」を出版。他に、エッセー「私の軽井沢物語」「私の巴里物語 1950~1989」など多数。2000年、フランス政府からレジオン・ドヌール勲章を受章する。