イイヌマ・ジロウ。農業経済学者。
9月24日、ベトナム戦争がきっかけで市民運動に参加し、京都ベ平連(ベトナムに平和を! 市民連合)をリードした京大名誉教授の飯沼二郎さんが、肺炎のため死去。87歳。
1918年、東京生まれ。41年、京都帝国大学農学部卒業。農林省(当時)を経て京都大学人文科学研究所に入所し、のち京大教授。アメリカの単作や大規模農業を進める戦後政策を批判し、裏作など日本古来の小型複合農業の必要性を主張した。また、市民運動にも積極的に参加し、65年にはベトナム戦争におけるアメリカの空爆を批判。京都ベ平連の中心的役割を担った。一方で在日朝鮮人問題にも関心を寄せ、69年に雑誌「朝鮮人」を創刊。在日の人々の人権を世に訴えた。87年には「君が代」の強制は無効だとして文部省(当時)を提訴。「君が代訴訟」の原告代表を務めたが、最高裁で上告を棄却された。「飯沼二郎著作集」(全5巻)など多数の著書がある。