アキヅキ・タツイチロウ。医師。平和活動家。
10月20日、長崎で被爆しながらも、医療活動を続けた医師の秋月辰一郎さんが呼吸不全のため死去。89歳。
1916年、長崎県生まれ。京都帝国大学医学部卒業後、長崎医科大学(現・長崎大学医学部)放射線医局を経て、44年から浦上第一病院(現・聖フランシスコ病院)に勤務。翌45年8月9日、爆心地から1.4キロの距離にある同病院で被爆した。自らの体を顧みず、生き残った看護士たちと運び込まれる被爆者の救護を続けた記録は、著書の「長崎原爆記 被爆医師の証言」や「死の同心円 長崎被爆医師の記録」に綴られている。戦後は同病院の院長を務めるかたわら、原爆後遺症と闘いながら、原爆の実態を伝えるためにひとりひとりがそれぞれの体験を語る「長崎の証言」運動を展開。69年には同名の被爆証言集「長崎の証言」を創刊し、62号まで発刊されている。また官民一体となって設立された長崎平和推進協会の設立に尽力し、83年に初代理事長に就任。85年にはローマ教皇ヨハネ・パウロ2世から聖シルベステル勲章を受章した。原爆投下から60年の2005年には、秋月さんをモデルとしたアニメ映画「NAGASAKI・1945~アンゼラスの鐘~」が公開され、日本各地で上映されている。