イトウ・キヨシ。数学者。
2008年11月10日、世界的な数学者で京都大学名誉教授の伊藤清さんが、呼吸器不全のため死去。93歳。
1915年、三重県生まれ。東京帝国大学理学部数学科を卒業後、内閣統計局などに勤務。その後、名古屋帝国大学の助教授を経て、京都大学、デンマークのオールフス大学、アメリカのコーネル大学の教授などを歴任。42年に発表した、微分方程式に確率過程を導入することで自然界のランダムな動きを数式で表す確率微分方程式「伊藤の公式」は、工学や生物学に応用され、80年代には金融工学にも応用されるようになった。2006年には、ビジネスや人々の暮らしに強いインパクトを与えた数学研究をたたえる趣旨で、国際数学連盟(IMU)などが創設したガウス賞の第1回受賞者に選ばれ、08年の文化勲章も受章したばかりだった。著書に「確率論」「統計数学の基礎」「確率過程」などがある。