アサブキ・マリコ。作家、第144回芥川賞受賞者。
ニシムラ・ケンタ。作家、第144回芥川賞受賞者。
2011年1月17日、第144回芥川賞の選考会が開かれ、朝吹真理子の「きことわ」と西村賢太の「苦役列車」が同時受賞。直木賞も2人同時受賞となり、04年1月以来の4人受賞となった。
朝吹真理子は1984年、東京都生まれ。現役の慶応大学大学院生で、父は詩人でフランス文学者の朝吹亮二、大叔母はフランソワーズ・サガンの翻訳で知られる故・朝吹登水子という“文学一家”に生まれた。大学院では近世歌舞伎を研究しているという。2009年のデビュー作「流跡」でBunkamuraドゥマゴ文学賞を最年少受賞。3作目となる「きことわ」で初のノミネートを受け、栄冠を射止めた。受賞作は、神奈川県葉山の別荘を舞台に、25年ぶりに再会した2人の女性の過去と現在を、夢と現実が絡む不思議な世界として描いた作品。
西村賢太は1967年7月12日、東京都生まれ。市立中学校を卒業後、日雇いのアルバイトなどで生計を立てながら暮らしていたという。2003年に同人誌「煉瓦」に入会して小説の執筆を始め、06年の「どうで死ぬ身の一踊り」が第134回芥川賞候補に。06年の「暗渠の宿」が第29回野間文芸新人賞を受賞。08年の「小銭をかぞえる」でも第138回芥川賞候補となっている。貧しくコンプレックスの塊のような自虐的な男が主人公の私小説の書き手として根強い支持者を持つ。23歳の時、大正期の「破滅型作家」として知られる石川県七尾市出身の作家藤澤清造の作品に出合い、心酔。02年には、七尾市にある清造の墓の隣に自分の墓まで建てており、芥川賞の賞金は個人編集している「藤澤清造全集」の資金に充てるつもりだという。