エンジョウ・トウ。第146回芥川賞受賞者。
タナカ・シンヤ。第146回芥川賞受賞者。
ハムロ・リン。第146回直木賞受賞者。
2012年1月17日、第146回芥川賞と直木賞の選考会が開かれ、芥川賞は円城塔の「道化師の蝶」と田中慎弥の「共喰い」、直木賞は葉室麟の「蜩ノ記」(ひぐらしのき)が選ばれた。
円城塔は1972年、北海道生まれ。東北大学理学部物理学科卒業、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。2007年に「オブ・ザ・ベースボール」で第104回文学界新人賞受賞および第137回芥川賞候補となり、10年「烏有此譚」で第32回野間文芸新人賞受賞。11年には第3回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞し、「これはペンです」が第145回芥川賞候補となっていた。他の著書に「後藤さんのこと」「Self-Reference ENGINE」などがある。受賞後の初作品として、09年に死去したSF作家、伊藤計劃さんの未完作品「屍者の帝国」を完結させるという。
田中慎弥は1972年、山口県生まれ。91年に下関中央工業高校インテリア科卒業。20歳のころから小説を書き始め、2005年「冷たい水の羊」で第37回新潮新人賞を受けデビュー。08年「蛹」で川端康成文学賞を最年少で受賞、同年「蛹」を収録した作品集「切れた鎖」で三島由紀夫賞受賞。過去に06年の「図書準備室」、07年の「切れた鎖」、08年の「神様のいない日本シリーズ」、10年の「第三紀層の魚」と4回芥川賞候補となっていた。受賞会見では「もらって当然」と発言し、世間を沸かせた。他の著書に「犬と鴉」「実験」などがある。
葉室麟は1951年、福岡県生まれ。76年西南学院大学文学部卒業後、地方紙記者などを経て、50歳過ぎから本格的に小説を書き始めた。久留米市在住。2005年「乾山晩愁」で第29回歴史文学賞を受賞し、作家デビュー。07年「銀漢の賦」で松本清張賞受賞。08年「いのちなりけり」、09年に「秋月記」と「花や散るらん」、11年「恋しぐれ」で4回、直木賞候補となっており、5度目のノミネートで賞を手にした。他の著書に「実朝の首」「風渡る」「刀伊入寇 藤原隆家の闘い」などがある。