アキノ・フク。本名、秋野ふく。日本画家。京都市立芸術大学名誉教授。
10月11日、インドの風土を描いて、現代日本画に新境地を開いた秋野不矩さんが、心不全のため、京都府美山町の自宅で死去。93歳。
1908年、静岡県天竜市の神職の家に生まれる。静岡県女子師範学校を卒業後、高等小学校の教師になるが、画業を志し、石井林響(りんきょう)、西山翠嶂(すいしょう)に師事。30年、「野を帰る」で帝展初入選。38年、「紅裳(こうしょう)」で新文展特選。戦後、48年、日展を離れて山本丘人(きゅうじん)、上村松篁(しょうこう)らと「創造美術協会」の結成に参加。62年、インドのビスババーラティー大学に客員教授として招かれて以来、インドの風物をテーマに描きはじめる。私生活では、画業のかたわら、5男1女を育て上げた、たくましい母親でもあった。
51年、第1回上村松園賞、86年、毎日芸術賞、93年、日本芸術大賞受賞、99年、文化勲章受章。また、98年には、故郷の天竜市に「市立秋野不矩美術館」がオープン。