イリヤ・プリゴジン。Ilya Prigogine。化学者。物理学者。
5月28日、「散逸構造」理論で1977年のノーベル化学賞を受賞したイリヤ・プリゴジンさんが死去。86歳。
1917年、モスクワ生まれ。21年一家で西ヨーロッパに移住し、ドイツを経て29年ベルギーに渡る。47年ブリュッセル自由大学物理化学教授に就任。62年からソルヴェー物理化学国際研究所所長を兼務。67年、アメリカ・テキサス大学統計力学・熱力学センター所長を兼務した。非可逆過程の熱力学を体系化し、「散逸構造」理論を提案した業績により、77年ノーベル化学賞を受賞。エネルギーと物質を外界と交換することで生成、維持される散逸構造の理論は物理、化学の世界だけではなく、カオスにおける「ゆらぎ」の問題、生物学や、社会科学の「自己組織化」や哲学分野における「生成」という考え方などあらゆる分野に大きな影響を与えた。また、94年から99年にかけて、関西文化学術研究都市の中核施設運営会社「けいはんな」の最高顧問も務めた。