イワキ・ヒロユキ。指揮者。
6月13日、NHK交響楽団の終身正指揮者で、メルボルン交響楽団の終身桂冠指揮者、オーケストラ・アンサブル金沢(OEK)の音楽監督など、数々の要職を務めた指揮者の岩城宏之さんが、心不全のため死去。73歳。
1932年、東京生まれ。東京芸術大学音楽学部に進学するが、在学中に同級の山本直純とともに渡辺暁雄に師事して、指揮者を志す。NHK交響楽団副指揮者となり、56年大学を中退し、同年に指揮者としてデビューする。62年チェコ国立放送交響楽団を指揮してヨーロッパのオーケストラにもデビューを果たす。その後、NHK交響楽団の終身正指揮者となる一方で、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルを始め主要オーケストラに常時客演した。メルボルン交響楽団から、87年に桂冠指揮者の称号を受け、94年にはメルボルンに「イワキ・オーディトリアム」がオープンした。日本初の本格的な室内管弦楽団オーケストラ・アンサンブル金沢の設立にも力を注ぎ、コンポーザー・イン・レジデンス制度(現代曲委嘱初演制度)を取り入れるなど、公演では日本の現代作曲家を積極的に後押しし、日本の現代音楽の振興に大きく寄与した。またエッセイストとしても知られ、「フィルハーモニーの風景」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞(91年)している。