タケガマ・トオル。ドミニカ日系人協会会長。
7月21日、1950年代後半のドミニカ共和国移住政策について、政府は移住者代表としてドミニカ日系人協会の嶽釜徹会長らを官邸に招き、「おわび」談話を発表した。
鹿児島県知覧町生まれ。68歳。父親は農業技術者で、農業高校の教頭を務めていた。九州大学医学部への進学を目指していた高校3年の時に、父親にドミニカ移住を説得され、56年、一家で移住した。ドミニカ移民第一陣、約140人のうちの1人。2000年にドミニカ日系人協会会長に就任した。
ドミニカへの集団移住は1956年から59年まで行われ、249家族1319人が移住した。日本政府は移住に際して「豊かな農地を無償譲渡される」とうたったが、実際に配分された土地は約束の3分の1ほどで、しかも譲渡ではなく耕作権を与えられただけだった。入植直後から移民たちは募集条件の履行と問題の解決を求めてきたが、日本政府は対応せず、60年代に移民の多くは集団帰国した。残留した移民は2000年に国を集団提訴。6月に出された東京地裁の判決では、当時の移民政策については違法性を認めたものの、賠償請求に関しては棄却した。しかし、政府は政治決断として国が敗訴した際の謝罪に使われる「おわび」という表現を盛り込む談話を発表し、移民政策の非を認めるとともに特別一時金の給付を決定、原告団と和解した。