キャサリン・グラハム。Katherine Meyer Graham。アメリカのメディア・グループ「ワシントン・ポスト」の前会長。
7月17日、ワシントン・ポスト紙の元社主で、「ウォーターゲート事件」報道などで、同紙を全米有数のクオリティーペーパーに育て上げたキャサリン・グラハムさんが入院先のアイダホ州ボイシ市内の病院で死去。84歳。7月14日にボイシ郊外で転倒して頭部を負傷し、意識不明状態が続いていた。
1917年、ニューヨーク生まれ。父親のユージン・マイヤーが33年にワシントン・ポスト紙を買収。シカゴ大学卒業後、46年まで同紙の編集部に。40年、フィリップ・グラハムと結婚し、退社後は4人の子供を持つ専業主婦に。48年、義父の跡を継いで、フィリップ・グラハムが社主となるが、63年に躁鬱病(そううつびょう)で自殺。キャサリン・グラハムは46歳で初めて新聞経営に足を踏み入れる。
71年のベトナム戦争に関する機密文書(ペンタゴン・ペーパーズ)事件、72~74年のニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件で、ニクソン政権からの圧力に屈することなく、社主として編集陣を支えて調査報道を敢行。報道の自由の確立に貢献し、「世界でもっとも影響力のある女性」と称賛された。また、一地方紙だった同紙を、雑誌「ニューズ・ウィーク」や複数のテレビ局を擁する巨大メディア・グループに育て上げた経営手腕も有名。またグラハム邸は、政治家や政府高官、記者たちにとっては腹を割って話しあえる場でもあり、自宅に招かれることは非常に名誉なことであった。自伝『キャサリン・グラハム わが人生』で、98年のピュリッツァー賞(伝記部門)を受賞。