サイモン・ウィーゼンタール。Simon Wiesenthal。ユダヤ人資料センター所長。
9月20日、ユダヤ人大量虐殺に関わったナチス戦犯の追及を続け、「ナチ・ハンター」の異名をもつサイモン・ウィーゼンタールさんが老衰のため死去。96歳。
1908年、オーストリア・ハンガリー帝国ブチャチ(現・ウクライナ)に生まれた。第二次大戦中はナチスのユダヤ人強制収容所に収容され、親類89人がナチスに虐殺されたという。戦後、アメリカ軍のナチス戦犯調査部門を経て、47年オーストリアでユダヤ人資料センターを設立。多数のナチス戦犯の潜伏先特定に関わってきた。ユダヤ人虐殺の責任者とされる元ナチス親衛隊幹部のアドルフ・アイヒマンや、「アンネの日記」のアンネ・フランクを収容所に送った元ゲシュタポ(秘密国家警察)メンバーの逮捕にも関わるなど、世界各国に逃亡したナチス戦犯1000人以上もの摘発に協力してきたとされる。77年には同氏の名を冠した反ユダヤ活動監視組織「サイモン・ウィーゼンタール・センター」がロサンゼルスに設立された。しかし、近年、ドイツやオーストリア、さらにイスラエルでウィーゼンタールさんの役割が過大評価されていたのでは、との声も上がっていた。