コジマ・ノブオ。作家。
10月26日、小説『抱擁家族』や『別れる理由』などの前衛的な文学作品で知られる、作家の小島信夫さんが肺炎のため死去。91歳。
1915年、岐阜県生まれ。東京帝国大学(現・東京大学)英文科を卒業。41年に出征、46年に復員の後、軍隊時代の経験を基にした『小銃』を発表した。高校教師や大学教授を務めながら執筆を続け、54年、『アメリカン・スクール』で第32回芥川賞を受賞。吉行淳之介、遠藤周作、安岡章太郎らとともに「第三の新人」と呼ばれた。65年、長編小説『抱擁家族』で第1回谷崎潤一郎賞を、82年には、約13年にわたって連載を続けた『別れる理由』で第35回野間文芸賞を受賞。重層的な構造や、小説そのもののあり方を問う文学的手法で、純文学の新たな地平を開いた。
晩年に至っても創作意欲は衰えず、2006年5月には長編『残光』を刊行していた。