クルト・ワルトハイム。Kurt Waldheim。元国連事務総長。
2007年6月14日、元国連事務総長でオーストリア元大統領のクルト・ワルトハイムさんが、心臓病のため死去。88歳。
1918年、オーストリア、ウィーン近郊生まれ。第二次世界大戦従軍後、オーストリア外務省に入省。国連大使、外相などを歴任。72年から81年までの2期10年、第4代の国連事務総長を務め、ベトナム戦争やイラン・イラク戦争、アメリカ大使館占拠事件などの国際紛争の解決に尽力した。
その後、86年のオーストリア大統領選挙中に、ドイツ軍将校時代、バルカン半島で、ナチスのユダヤ人強制移送などに関与していた疑いが浮上。当選後、戦争犯罪容疑者として国際社会から強い批判を浴び、87年からアメリカが入国禁止措置を取るなど、6年間の大統領在任中、バチカン以外の国を公式訪問できなかった。その後の調査では、戦争犯罪に直接関与した証拠は見つからなかったが、ナチスの犯罪行為を知っていたとする報告書がまとめられ、92年の大統領選への立候補を断念、引退した。