ツムラ・キクコ。第140回芥川賞受賞者。
テンドウ・アラタ。第140回直木賞受賞者。
ヤマモト・ケンイチ。第140回直木賞受賞者。
2009年1月15日、第140回芥川賞・直木賞の選考委員会が開かれ、芥川賞は津村記久子の「ポトスライムの舟」、直木賞は天童荒太の「悼む人」と山本兼一の「利休にたずねよ」の2作が選ばれた。3人とも3回目の候補での受賞となった。
津村記久子は1978年、大阪府生まれ。大学3年から本格的に小説を書き始め、2005年に「マンイーター」で第21回太宰治賞を受賞。同作を改題した「君は永遠にそいつらより若い」でデビューした。会社勤務の傍ら、週5日午前2時から4時まで執筆を続けてきた。今回の受賞作「ポトスライムの舟」は、工場で働く29歳の契約社員の日常と人間関係を淡々と描いたもの。
天童荒太は1960年、愛媛県生まれ。86年「白の家族」で野性時代新人賞を受賞。映画の脚本を手がけたのち、現在の筆名で小説に専念。93年「孤独の歌声」が日本推理サスペンス大賞優秀作に。96年「家族狩り」で第9回山本周五郎賞を受賞。8年ぶりの長編小説となった今回の受賞作「悼む人」は、全国の事件、事故などの犠牲者をひたすら悼む旅を続ける主人公を通して、人の死を悼むことの意味を問いかける物語。
山本兼一は1956年、京都府生まれ。業界紙記者やフリーライターを経て、99年「弾正の鷹」で小説NON創刊150号記念短編時代小説賞を受賞。2002年、長編「戦国秘録 白鷹伝」でデビュー。04年には「火天の城」で松本清張賞を受賞。今回の受賞作「利休にたずねよ」は、茶人の千利休と豊臣秀吉との美をめぐる確執を描いたもの。