キウチ・ノボリ。作家、編集者、第144回直木賞受賞者。
ミチオ・シュウスケ。作家、第144回直木賞受賞者。
2011年1月17日、第144回直木賞の選考会が開かれ、木内昇の「漂砂のうたう」と道尾秀介の「月と蟹」が同時受賞。芥川賞も2人同時受賞となり、両賞合わせて第130回以来の4人受賞となった。
木内昇は1967年、東京都生まれ。女性作家だが、名前から男性作家に間違えられることがあるという。中央大学文学部哲学科卒業後、出版社勤務を経て、フリーの編集者として独立。季刊インタビュー誌「Spotting」を主宰する傍ら、書籍などの執筆、編集に携わる。2004年「新選組 幕末の青嵐」で小説家デビュー。09年には第2回早稲田大学坪内逍遙大賞の奨励賞を受賞。直木賞受賞作「漂砂のうたう」は、小説としては5作目で、明治初期、時代の波に乗れず東京・根津の遊郭で呼び込みとして働く、元御家人の次男坊が主人公の時代小説。初の直木賞候補ノミネートからの受賞だった。他の著書に「新・東京の仕事場」「ブンガクの言葉」「地虫鳴く」「茗荷谷の猫」「浮世女房洒落日記」がある。
道尾秀介は1975年5月19日、兵庫県生まれ。玉川大学農学部卒業後、サラリーマン生活の傍ら執筆活動を行い、2004年「背の眼」でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。07年には「シャドウ」で本格ミステリ大賞、09年「カラスの親指」で日本推理作家協会賞、10年「龍神の雨」で大藪春彦賞をそれぞれ受賞している実力派若手作家。直木賞では戦後最多となる、5期連続ノミネートの末の受賞となった。受賞作「月と蟹」は海辺の町で暮らす孤独な少年の物語。4期連続で賞を逃した直後からTBSのドキュメンタリー番組「情熱大陸」が密着しており、受賞の一報を受けて記者会見場へ向かう姿が放映されて話題となった。その他の著書に、「向日葵の咲かない夏」「ラットマン」「鬼の跫音」「球体の蛇」「光媒の花」などがある。