タクシン・シナワット。Thaksin SHINAWATRA。タイ政治家、実業家。1月6日に行われたタイ総選挙で「タイ愛国党」が圧勝。「タイ愛国党(タイ・ラック・タイ)」は、有料テレビや携帯電話事業などで一代で財を成したタイの「通信王」タクシン氏が98年7月に創設した新党。タクシン氏の豊富な政治資金を使って、与野党から120人近い現職議員を引き抜き、チュアン首相が率いる民主党と対決。下院(定数500)のうち、260議席近くを獲得して、タイの憲政史上初めて単独過半数を制した。97年のアジア通貨危機以来、低迷が続くタイ経済の立て直しを、実業界の成功者タクシン氏の剛腕に託したというのが今回の選挙結果。問題は、1月16日に、この次期首相候補が資産隠し疑惑で、国家汚職追放委員会から憲法裁判所に起訴されたこと。97年に副首相に就任した際に、135億円にのぼる株式資産を、運転手名義などに変更して、意図的な資産隠しを行ったという容疑。憲法裁判所の審理は2月から開始される予定だが、有罪となった場合は、5年間の公職追放となり、現職首相が在任中に公職追放となる事態もありうる。
49年タイ北部チェンマイ県出身。元警察官僚。タイ警察士官学校を卒業後、テキサス州立大に留学し、犯罪学の博士号を取得。警察に勤めるかたわら、コンピューター・リース業を開始。85年にケーブルテレビ会社を設立後、87年に警察を退職して実業界に。携帯電話事業などにも乗りだし、総資産22億ドルのシナワット・グループの会長に。94年チュアン内閣の外相、95年道義党党首、副首相。98年7月愛国党設立、党首に。