カワイ・ハヤオ。心理学者、文化庁長官。
1月4日、小泉純一郎首相は、文化庁長官に、心理学者の河合隼雄・京都大学名誉教授を起用すると発表。民間出身の文化庁長官は、初代の今日出海(こん・ひでみ=作家)、7代目の三浦朱門(しゅもん=作家)以来、16年ぶり3人目。経済沈滞の暗いニュースの多いなかで、文化芸術振興策を強くアピールするため、小泉首相が民間からの起用を命じたもの。河合氏は、1月18日付で就任。
1928年、兵庫県出身。52年、京都大学理学部数学科を卒業後、高校教師になり、問題児対策をテーマに京都大学大学院で臨床心理学を学んだ。59年、フルブライト留学生として、カリフォルニア大学に留学。その後、スイスのユング研究所で精神分析家の資格を取得。ユング派心理学を日本に紹介した第一人者で、心理療法の実践教育、人材の養成で大きな役割を果たした。
また、専門の臨床心理学をベースに、文学、宗教、科学、教育などの幅広い分野で研究執筆活動をつづけている。京都大学教授を経て、95年から2001年まで国際日本文化研究センター所長。著書に『コンプレックス』『母性社会日本の病理』『中空構造日本の深層』『昔話と日本人の心』『明恵 夢を生きる』など。98年、朝日賞受賞、00年、文化功労者に。