スロボダン・ミロシェビッチ。Slobodan Milosevic。元ユーゴスラビア連邦(現セルビア・モンテネグロ)大統領。
3月11日、旧ユーゴスラビア紛争における集団虐殺などの「人道に対する罪」を問われ、旧ユーゴ国際戦犯法廷で公判を受けていたスロボダン・ミロシェビッチ元ユーゴスラビア大統領が独房で死去。64歳。死因は心筋梗塞と発表されている。
1941年、セルビアのポジャレバツ生まれ。セルビアは宗教や民族が異なる6つの共和国で形成された旧ユーゴスラビア連邦に所属。元大統領はベオグラード大学で法律を学び、90年にセルビア共和国大統領に当選。大セルビア主義(セルビア民族至上主義)政策が連邦各国の批判を招き、91年、スロベニアが連邦からの独立を表明。その後クロアチア、マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナも独立を宣言し、92年、セルビアは残るモンテネグロと新ユーゴスラビア連邦を樹立した。さらに元大統領は旧連邦各国内のセルビア系独立反対勢力を援助。95年、ボスニア東部スレブレニツァにおけるイスラム教徒数千人殺害、ユーゴ大統領就任後のコソボ自治州のアルバニア系住民弾圧などにも関わったとされ、ボスニアだけで20万人以上もの死者を出した「民族浄化」政策は国際問題となった。99年、「人道的介入」という立場から北大西洋条約機構(NATO)が国連安保理の承認を受けないままユーゴを空爆。同年、旧ユーゴ戦犯国際法廷から「人道に対する罪」で起訴され、2000年に大統領を退任。01年、セルビア当局により法廷のあるオランダ・ハーグに移送されていた。