クロキ・カズオ。映画監督。
4月12日、青春映画の名作「祭りの準備」や戦争映画などで知られる映画監督の黒木和雄さんが、脳梗塞(こうそく)のため死去。75歳。
1930年、宮崎県生まれ。同志社大学卒業。54年岩波映画製作所に入社。記録映画を多数手がけたのち、60年代初めにフリーとなる。66年、初の劇映画「とべない沈黙」を発表。その後も、現地ロケを行った69年の「キューバの恋人」や70年の「日本の悪霊」などで、記録映画で養ったリアリズム追求の感覚により、人間の内面を描き出す描写力とリアルな演出などが評価される。70年代には製作集団・日本アート・シアター・ギルド(ATG)で活躍する。長崎に原爆が投下される前日の町と人々の様子を淡々と表現した88年の「TOMORROW/明日」と、宮崎で過ごした自らの戦争体験をもとに描いた「美しい夏キリシマ」、原爆投下後の広島を舞台にした、井上ひさし原作の「父と暮せば」は、戦争レクイエム3部作と呼ばれた。終戦間近の鹿児島を舞台にした新作の「紙屋悦子の青春」はすでに撮り終わり、2006年8月の公開が決定していた。