キヨオカ・タカユキ。小説家、詩人。
6月3日、幅広い文筆活動で活躍した作家の清岡卓行さんが、間質性肺炎のため死去。83歳。
1922年、旧満州(中国東北部)大連生まれ。フランスの詩人ランボーに傾倒し、東京大学仏文科に入学。在学中の49年から日本野球連盟職員を経て64年まで、プロ野球セントラル・リーグ事務局に勤め、試合日程編成を担当したほか、一試合3安打以上の選手にスポンサーから贈られる「猛打賞」を発案した。64年からは法政大学の講師、66年から80年まで教授。その一方で、59年に詩集「氷った焔」で本格的に詩作を開始。70年に大連時代の思い出や敗戦で失われた故郷への思いを託した自伝的な小説「アカシヤの大連」で芥川賞を受賞。79年の中国旅行の紀行文「芸術的な握手」と、90年の詩集「ふしぎな鏡の店」で2度、読売文学賞を受賞した。その幅広い分野での活躍が評価され、95年には日本芸術院賞、98年には勲三等瑞宝章が贈られた。99年には「マロニエの花が言った」を上梓した。