ツルミ・カズコ。社会学者。
7月31日、柳田国男や南方熊楠を研究し、民俗学の手法を取り入れた独自の社会学を展開した鶴見和子さんが死去。88歳。
1918年、東京生まれ。祖父は内務大臣などを務めた後藤新平、父は厚生大臣だった鶴見祐輔、弟は哲学者の鶴見俊輔。39年、津田英学塾(現・津田塾大学)を卒業、アメリカへ留学し、バッサー、コロンビア両大学で哲学を学んだ。しかし41年に太平洋戦争が始まったため、日米捕虜交換船で帰国した。終戦後の46年、鶴見俊輔、政治学者の丸山真男らとともに雑誌「思想の科学」を創刊。58年、アメリカのプリンストン大学大学院に留学し、64年、社会学で博士号をとり、コロンビア大学助教授に就任した。その後、ブリティッシュ・コロンビア大学助教授や成蹊大学助教授、上智大学教授を務めた。この頃、英文で発表した著作は国際的な評価も高かった。柳田国男や南方熊楠、折口信夫の研究から独自の比較社会学理論を確立し、地域に根ざした発展を目指す「内発的発展論」を唱えた。79年「南方熊楠」で毎日出版文化賞、95年に南方熊楠賞、2000年には朝日賞を受賞している。