ハヤシ・キョウスケ。陶芸家。
2007年3月18日から26日まで、陶磁器史上の至宝、曜変天目の復元に成功した林恭助が、曜変天目の故郷、中国で個展を開催し、絶賛を浴びた。
1962年、岐阜県土岐市生まれ。黄瀬戸の作家として東海伝統工芸展、日本伝統工芸展等で何度も入賞するなど、高い評価を得てきたが、1998年ごろから曜変天目の再現に取り組み、わずか3年ほどで復元に成功した。曜変天目は、中国・南宋時代(12~13世紀)に、現在の福建省で焼かれた天目茶碗で、瑠璃色に輝く大小の妖しい斑文が、黒の釉薬(ゆうやく)に浮かび上がり、神秘的な独自の小宇宙を表す。現存するのは日本にある3点のみ(いずれも国宝)で、再現は不可能といわれていたが、林は、現地から土を取り寄せ、釉薬を科学的に再現。窯内の温度なども手探りで確認しながら、単なる再現にとどまらず、独自の表現を盛り込めるところまでたどり着いた。